「ご存知ですか? 臨床試験のしくみ」 独立行政法人国立病院機構 北海道がんセンター 副院長/乳腺外科部長 髙橋 將人先生

  • 第1回 臨床試験はなぜ必要? 私たちが受けている治療と臨床試験の関係
  • 第2回 ガイドラインに掲載される標準治療ができるまで
  • 第3回 臨床試験を支える人々と患者さんを守るための仕組み
  • 第4回 臨床試験への参加を勧められたら? 意思決定をする前に知っておきたいこと

<下記内容はインタビュー当時の情報に基づき作成しています>

第3回公開日:2019年6月13日

臨床試験を支える人々と患者さんを守るための仕組み

第3回では、臨床試験が実際にどのように行われているかについて伺います。患者さんの権利を守りながら科学的な研究を行うために、どのような仕組みが作られているのでしょうか。

臨床試験には、どのような人が関わっているのでしょうか?

臨床試験では、新しい治療法を安全で倫理的に行い、かつ科学的に精度の高い研究にするために、さまざまなスタッフが関わっています()。普段から患者さんと接している医師、看護師、薬剤師などの医療従事者はもちろん、患者さんの目にとまらないところでは、統計の専門家たちが有効性や副作用の情報を分析・管理したり、有益な情報を得られるようにデータの収集方法を考えたりしています。また、医師と患者さんを繋ぐ役目を担う臨床試験コーディネーター(CRC)や、臨床試験について倫理的に妥当であるかどうかを判断する倫理審査委員会(IRB)といった組織の存在もあります。

臨床試験コーディネーター(CRC)とはどのような役割を担っているのでしょうか?

臨床試験の中で患者さんと直接関わる役割として、CRCがあります。CRCとは、看護師、薬剤師、検査技師といった職種の中で、臨床試験について専門知識を得た資格者のことです。医師と患者さんを繋ぎ、臨床試験のデータを管理するだけでなく、新しい治療法に挑む患者さんを支える役割があります。体調だけでなく、気持ちのつらさなどについても力になってくれるはずです。

倫理審査委員会(IRB)とは何ですか?

臨床試験を行う医療機関の中には、IRBという組織が設置されています。IRBは法律家などの外部有識者が加わることや、男女両性で構成されることなどが規定され、医療機関内の関係者だけで討議されないような仕組みになっています。そして、患者さんが受ける新しい治療法を臨床試験の中で実施することが倫理的に妥当かどうか、その臨床試験が患者さんにとって不利益にならないか、その説明で患者さんに理解してもらえるか、などについて、第三者の視点から検討しています。現在では国内のIRBの質を一律化するため、国が医療機関のIRBの審査の質について、適切に判断できるIRBであることを認定する制度もあります。

臨床試験の結果はどのように活かされるのですか? 個人が特定されないか心配です。

髙橋 將人先生

治験の結果は、新薬や既存薬の新たな適応などの承認申請に活かされます。医師主導の臨床試験は、新たな治療法の開発やエビデンス(科学的根拠)を作り出すために活用され、これらの臨床試験の結果を集積して、新しい標準治療が確立されていきます。臨床試験の結果が公表されるかどうかにかかわらず、参加された患者さんのプライバシーは守られます。

臨床試験はあらゆる専門家が関わり、また、参加者のプライバシーが守られ、個人が特定される心配はないということですね。

臨床試験にはどうすれば参加できますか?

臨床試験にはそれぞれ目的があるため、参加基準に合った人だけが参加できます。臨床試験は、専門の設備や医師、医療スタッフが整った医療機関で行われ、医師から参加基準に該当すると思われる患者さんに「参加しませんか?」と声をかけるのが一般的です。また、患者さんご自身から臨床試験への参加を希望される場合は、必ず主治医に臨床試験を実施する施設に紹介してもらいましょう。ただし、紹介を受けたとしても、検討の結果、参加条件に該当しないことがわかり、残念ながらお断りするケースもあります。
臨床試験の実施状況はインターネット上で公開されています。一般の方が自分で検索できるサイトもあるので、以下を参考にしてください。

● 国内の臨床試験実施状況のデータベース

医師は臨床試験情報を登録しており、いくつかのデータベースで検索できます。UMIN-CTR上で公開されている臨床試験情報が検索できます。
https://upload.umin.ac.jp/cgi-open-bin/ctr/index.cgi?function=02
一般財団法人 日本医薬情報センターが運営するデータベースでは、現在実施している治験の概要を閲覧することができます。
http://www.clinicaltrials.jp/user/cteSearch.jsp;jsessionid=F414EA3273B37DEDE283E5A1CAAF97DD
公益社団法人 日本医師会 治験促進センターが運営する臨床試験登録システムでは、医師主導臨床試験が検索できます。
https://dbcentre3.jmacct.med.or.jp/JMACTR/App/JMACTRS01/JMACTRS01.aspx?kbn=4

● 臨床試験を探したい一般の方向けデータベース

 また、一般の方はがん情報サービスの「がんの臨床試験を探す」というサイトで、がんの領域、都道府県、年齢を選んで、「検索する」ボタンをクリックすると、対象となる臨床試験の一覧がご覧いただけます。
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/clinical_trial/search/search1-1.html

第4回では、臨床試験に参加する場合の意思表示のあり方、実際に参加した場合のメリットやデメリットについて伺います。

次のインタビューへ 第4回 臨床試験への参加を勧められたら? 意思決定をする前に知っておきたいこと
2019年6月

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