知っておきたい医療保険制度

更新日:2018年10月22日

乳がんの治療は長期にわたることも少なくありません。また、医学の進歩により、画期的な新しい治療法や治療薬が開発されていますが、費用負担が大きいのも事実です。そこで、がん患者さんの経済的負担を軽減し、安心して治療が受けられるように支援する医療制度があります。加入している健康保険組合や各自治体に確認してみましょう。

高額療養費制度の活用 高額療養費制度の活用

がん患者さんに知っておいていただきたい医療保険制度のひとつに「高額療養費制度」があります。通常、医療費はその1~3割を自己負担していますが、1ヵ月間(1日から末日)の自己負担額が一定の限度額を超えた場合、超過分の費用が支給される制度です。毎月の自己負担の上限額は、加入者の年齢(70歳以上かどうか)と所得水準によって異なります(表参照)。医療機関で医療費の自己負担分をいったん全額支払い、後日、保険者から限度額を超えた分の費用が払い戻される仕組みになっています。なお、加入している健康保険組合などにあらかじめ「限度額適用認定証」を申請し交付を受けていれば、入院・外来診療にかかわらず、窓口での支払いを自己負担限度額までにとどめることも出来ます。
また、高額療養費制度では、「世帯合算」や「多数回該当」といった仕組みにより、さらに最終的な自己負担額が軽減されます。

(2018年8月調べ)

高額療養費の計算方法(平成30年8月診療分から) 高額療養費の計算方法(平成298月〜平成30年7月診療分まで)

1ヵ月の自己負担上限額は、年齢と所得によって下記のように定められています。
また、過去12か月以内に3回以上、上限額に達した場合には、4回目から「多数回」該当となり、上限額が引き下がります。
なお、70歳以上の「住民税非課税世帯」の場合には、多数回該当の適用はありません。

69歳以下の場合

適用区分 ひと月の上限額(世帯ごと) 多数回該当の場合
年収約1,160万円からの方
健保:標準報酬月額83万円以上の方
国保:旧ただし書き所得901万円超の方
252,600円+
(医療費-842,000円)×1%
140,100円
年収約770万〜1,160万円
健保:標準報酬月額53万〜79万円
国保:旧ただし書き所得600万~901万円
167,400円+
(医療費-558,000円)×1%
93,000円
年収約370〜770万円
健保:標準報酬月額28万〜50万円
国保:旧ただし書き所得210万~600万円
80,100円+
(医療費-267,000円)×1%
44,400円
〜年収約370万円
健保:標準報酬月額26万円以下の方
国保:旧ただし書き所得210万円以下
57,600円
住民税非課税の方 35,400円 24,600円
注)
1つの医療機関等で自己負担(院外処方代を含みます。)では上限額を超えないときでも、同じ月の別の医療機関等で自己負担(69歳以下の場合は2万1千円以上であることが必要です。)を合算することができます。この合算額が上限額を超えれば、高額療養費の支給対象となります。

70歳以上の場合

適用区分 ひと月の上限額(世帯ごと) 多数回該当の
場合
外来
(個人ごと)
現役並み所得者 年収約1160万円以上の方
標準報酬月額83万円以上
課税所得690万円以上の方
252,600円+
 (医療費-842,000)×1%
140,100円
年収約770万~約1160万円
標準報酬月額53~79万円
課税所得380万円以上の方
167,400円+
 (医療費-558,000)×1%
93,000円
年収約370万~約770万円
標準報酬月額28~50万円
課税所得145万円以上の方
80,100円+
 (医療費-267,000)×1%
44,400円
一般 年収156万~約370万円
標準報酬月額26万円以下の方
課税所得145万円未満
18,000円
(年間上限14万4千円)
57,600円 44,400円
住民税非課税の方 Ⅱ 住民税非課税世帯 8,000円 24,600円
Ⅰ 住民税非課税世帯
(年金収入80万円以下など)
15,000円
過去12か月以内に3回以上、上限額に達した場合は、4回目から「多数回」該当となり、上限額が下がります。

注)
1つの医療機関等で自己負担(院外処方代を含みます。)では上限額を超えないときでも、同じ月の別の医療機関等で自己負担を合算することができます。この合算額が上限額を超えれば、高額療養費の支給対象となります。

関連情報

厚生労働省:高額療養費制度を利用される皆様へ

制度の概要や支給を受けるための手続に関する資料が掲載されています。

リウマチららら:高額療養費のシュミレーション

支払金額、年齢、所得区分を入力して自己負担限度額と高額療養費支給額をシュミレーションできます。

医療費控除 医療費控除

もう一つ、所得税が還付される制度をご紹介します。本人または家族が、1年間(1月1日から12月31日まで)に世帯全体で10万円以上の医療費を支払った場合には、確定申告をすればいったん支払った所得税の一部が戻ってきます。この制度を医療費控除といいます。医療費控除の対象となる金額は、下のように計算できます。年間の所得の合計金額が200万円までの場合には、その金額の5%となります。

医療費控除を受けるためには、領収書の添付が必要です。日頃から病院にかかった時の医療費や下記に示す控除の対象となる費用の領収書を保存しておきましょう。また、申告を忘れていた場合には、5年前までさかのぼって申告することができます。
詳しいことは、市区町村の税務署で相談してみましょう。

医療費控除の対象となるもの 医師による診察、治療費 治療や療養に必要な医薬品の費用 入院に伴う費用(身の回り品の購入は除く) 通院のための電車、バス代 治療のためのマッサージ、鍼灸の費用 医療用器具の購入費 在宅療養の費用 など医療費控除の対象とならないもの タクシー代(症状からタクシー利用が妥当な場合を除く) 健康診断・人間ドック(診断の結果病気が見つかり、治療した場合を除く) 漢方薬の購入費(医師の処方があるなど、治療のために必要な場合を除く) 差額ベッド代(病院の都合による場合を除く) マイカーでの通院のためのガソリン代診断書作成料 など

また、2017年1月から「セルフメディケーション税制」という新しい制度が始まりました。
薬局やドラックストアで購入した特定の成分を含むOTC医薬品*の年間購入額が1万2,000円を超え、健康診断などの一定の取り組みを行った方**が適用を受けられる可能性があります。OTC医薬品を購入した際のレシート(領収書)も保管しておきましょう。

ただし、従来の医療費控除制度とセルフメディケーション税制は、同時に利用することができません。どちらかを対象者ご自身で選択して確定申告を行います。

*
医療用医薬品から転用された83成分を含むOTC医薬品です。
対象となるOTC医薬品の品目名は厚生労働省ウェブサイトをご確認ください。
**
特定健康診査、予防接種、定期健康診断、健康診査、がん検診のいずれかを受けていて、健康増進や病気の予防に取り組んでいる方。

困ったことがあれば相談支援センターに 困ったことがあれば相談支援センターに

その他にも、患者さんの病状や生活環境によって適用できる様々な社会制度があります。全国の「がん診療連携拠点病院」にある「相談支援センター」では、がんに関わる様々な相談ができます。相談窓口では看護師やソーシャルワーカーが、がんのことや治療について、また医療費の負担、療養生活についてなど、がん患者さんの治療から生活面にわたる内容まで相談にのり、必要な情報を提供してくれます。相談支援センターはがん診療連携拠点病院にかかっていない患者さんやご家族も利用できます。疑問や不安など、困ったことがある場合には、遠慮なく相談支援センターに声をかけてみましょう。

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