乳がんの早期発見監修:東北医科薬科大学 乳腺・内分泌外科 教授 鈴木昭彦先生

  • 乳がんとは
  • 乳がん検診はなぜ大切?
  • 1ヵ月に1回の自己検診を

乳がん検診はなぜ大切?

日本の乳がん事情

今や、乳がんは日本人女性では11人に1人がかかると推定されており、女性のがんの中では患者数がもっとも多くなっています。年齢別にみると、30歳代から増加しはじめ、発症のピークは40歳代後半です。現在、世界的に乳がんの患者数は増えていますが、欧米では死亡率は減少しています。この理由の一つとして、マンモグラフィ検診の普及により早期発見につながっていることが挙げられています。乳がんはしこりを自覚して発見されることが多いですが、検診によってしこりに触れる前に発見できる場合もあります。
乳がんは早期に発見され、他の部位に転移していない場合、5年後の生存率は95%以上です。日本では患者数の増加とともに死亡率も増加しており、治癒が期待できる乳がんの早期発見が課題となっています。厚生労働省では、40歳以上の女性を対象に、2年に1度マンモグラフィによる乳がん検診を推奨しています。

マンモグラフィ検査と超音波検査

マンモグラフィとは乳房専用のX線検査で、その画像では脂肪成分は黒く映し出され、正常な乳腺は白く映し出されます。石灰化という初期の乳がんの兆候を見つけるのが得意で、しこりになる前の小さな乳がんを見つけられる可能性があります。その反面、しこりも乳腺と同様に白く映し出されるため、小さなしこりと正常な乳腺との区別が難しいという弱点があります。乳腺は通常、年齢とともに脂肪に変わっていきますが、日本人女性の乳がん好発年齢である40~50歳代の女性では、乳腺が発達していて乳腺の密度が濃い方が多いので、マンモグラフィ検査だけでは見つけにくいことがあります。
このように、乳腺の密度が濃い状態でマンモグラフィの画像で白い部分が多い乳房のことを高濃度乳房(dense breast;デンスブレスト)といい、乳腺の密度が薄く脂肪の割合が多い乳房を脂肪性乳房あるいは乳腺散在性乳房といいます。高濃度乳腺は乳腺が発達しているということで、病気ではありません。

一方、超音波検査は、人体に悪影響のない超音波を乳房にあて、その反射波からしこりの形や内部構造を画像化する検査です。乳腺は白く、多くの乳がんは黒く描出されるため、マンモグラフィでは診断しにくい高濃度乳腺でもしこりを発見しやすいという利点があります。その反面、治療の必要のない良性の病変まで拾い上げてしまうという課題もあります。
40歳以上の女性に2年に1度のマンモグラフィ検診が対策型検診として推奨されているのは、海外でマンモグラフィ検診によって乳がんの死亡者数を減少させたという結果があるからです。

*対策型検診とは、検査費用の一部または全部を各自治体の費用でまかなうもので、日本人女性全体の死亡率を下げることを目的に実施されているものです。それに対し、人間ドックのような検診は任意型検診といい、個人の判断により自己負担で行われるものです。(インタビュー岩瀬先生第1回

現在、超音波検査が対策型検診として有効かどうかを、40歳代の女性を対象に研究しています。結論が出るまでには、さらに研究期間が必要です。全国規模で集団検診として超音波検診を行うためには、高い診断技術を持った検査技師や医師の育成、超音波装置の整備などの体制づくりも必要となり、そうした検討も進められています。

監修者略歴

東北医科薬科大学 乳腺・内分泌外科 教授 鈴木昭彦先生

1992年 東北大学医学部卒業
1992年〜1995年 福島市大原総合病院にて外科研修
1995年 東北大学医学部 第2外科入局
2000年 東北大学大学院医学系研究科 卒業(医学博士)
2000年~2003年 米国コロンビア大学留学(病理学 Fellow)
2003年 5月 東北大学大学院医学系研究科腫瘍外科 医員
2003年10月 東北大学大学院医学系研究科腫瘍外科(乳腺・内分泌外科)助手
2008年 4月 同 講師
2009年 4月 八戸市立市民病院 乳腺外科部長
2011年 4月 東北大学病院乳腺内分泌外科 講師
2013年 7月 東北大学大学院 先端画像・ナノ医科学寄附講座 准教授
2017年 4月 東北医科薬科大学 乳腺・内分泌外科 教授

【資格・所属学会など】
日本外科学会専門医
日本乳癌学会専門医
日本乳癌検診学会評議員

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