ジェネリック医薬品の活用監修:明治薬科大学医薬品安全管理学 遠藤一司先生

  • ジェネリック医薬品とは
  • 薬価が違うということ
  • 世界のジェネリック医薬品事情
公開日:2014年7月31日

世界のジェネリック医薬品事情

日本で今後ますます使用が拡がっていくことが予想されるジェネリック医薬品ですが、欧米諸国での使用状況はどのようになっているのでしょうか。まずは世界のジェネリック医薬品のシェアを見てみましょう()。2010年の時点で、日本のジェネリック医薬品のシェアは約40%と、欧米に比べるとシェアが低いことが明らかです。アメリカでは、新薬の特許期間が終了した1ヵ月後に、約80%がジェネリック医薬品に変わることもあるほどで、ジェネリック医薬品が積極的に使用されていることがうかがえます。

日本と欧米の各国とでは、医療制度も異なり、ジェネリック医薬品をとりまく環境も異なるため、一概に比較できませんが、世界のジェネリック医薬品事情の一部を紹介しましょう。

各国のジェネリック医薬品の数量シェアは、日本59.0%、アメリカ91.7%、ドイツ86.3%、イギリス76.6%、フランス67.6%、スペイン65.3%

日本

世界に誇れる日本の医療制度は、なんといっても「国民皆保険制度」です。この制度が日本の医療を支え、国民みんなが平等に質の高い医療を受けることができているといえるでしょう。
しかし、患者さんが窓口で負担している医療費の何倍もの費用を健康保険料や国の税収入で支えていることから、少子高齢化に突入した現在、医療費の増大が加速度的に進み、このままでは制度の維持が難しくなってくることが危惧されています。
そのため、ジェネリック医薬品を推進させる方策の一つとして、2014年4月より処方せんの「変更不可」の欄に「✓」や「×」を記載した上で、変更不可の理由を書くことが義務付けられるようになりました。

アメリカ

アメリカでは、日本の国民皆保険制度とは大きく異なり、基本的に個人に任されています。各自が民間保険に加入するのが主流ですが、民間保険に加入できない人を対象とする公的な保険制度(メディケア、メディケイド)も存在します。また、資格があっても民間保険に加入しないという選択もあります。そのため、よりよい治療を受けるために非常に高額な費用がかかってしまうこともあります。
そこで、国民皆保険制度を目指した新しい保険制度が2014年1月にスタートしました(通称、オバマケア)。日本とは異なり、民間の保険会社へ加入する制度となっています。個人の裁量から一気に連邦政府が主導する皆保険へという流れは国民に馴染みにくく、まだまだ州間格差が大きいようです。
民間の保険会社では、ジェネリック医薬品の使用を奨励していて、また患者さん自身も、やはり価格の低いジェネリック医薬品を希望する場合が多いようです。
さらに、医師が処方したお薬を薬剤師の判断でジェネリック医薬品に替えることができる「代替調剤」がほとんどの州で認められており、ジェネリック医薬品のシェアは非常に高くなっています。

ドイツ

ドイツでも医療費、とりわけ薬剤費を減らすことが重要な課題となっています。そのため、「参照価格制度」という特徴的な制度があります。これは、お薬の値段に対して保険料で戻ってくる上限の金額(参照価格)を設ける制度です。この制度では、参照価格よりも安いお薬を使用した場合には、国が全額を負担しますが、この価格を超えたお薬を使用する場合には、超過分を患者さんご自身で負担しなければなりません。したがって、当然のごとく価格の低いお薬が選ばれるようになり、ジェネリック医薬品の普及につながります。
また、ドイツでも代替調剤が認められており、医師が処方せんに「代替調剤不可」と記載しない限り、薬剤師がジェネリック医薬品に変更することができます。そのため、薬剤師の判断や患者さんの希望によって、ジェネリック医薬品に変更しやすくなっています。

イギリス

イギリスは、公的なNHS(National Health Service)という医療保障制度があり、原則として国が国民の医療を負担しています。
イギリスの制度で特徴的なのはNICE(National Institute for Health and Care Excellence)という機関があり、高額な治療やお薬について、その費用と効果が見合っているかどうかを評価しているところです。期待される効果に対してお薬が高すぎると評価されると、NHSでの使用が推奨されなくなり、実質的に使用できなくなる場合もあります。
また、商品名ではなく一般名(成分名)で処方を行う「一般名処方」が主流となっており、イギリスのジェネリック医薬品のシェアはドイツに次いで高くなっています。

ジェネリック医薬品とは薬価が違うということ

監修者略歴

明治薬科大学医薬品安全管理学 遠藤一司先生監修。

昭和48年  3月 明治薬科大学製薬学科卒業
昭和48年  4月 明治薬科大学分析化学教室 助手
昭和51年  1月 国立函館病院薬剤科 製剤主任
昭和62年  8月 国立札幌病院薬剤科 調剤主任
昭和63年  4月 厚生省薬務局監視指導課 薬事専門官
平成  3年  4月 医薬品副作用被害救済・研究振興基金総務部 企画課長
平成  4年  4月 厚生省保険局医療課医療指導監査室 医療指導監査官
平成  6年  7月 厚生省老人保健福祉局老人保健課 課長補佐
平成  7年  4月 厚生省北海道地方医務局医療課 薬事専門官
平成13年10月 国立札幌病院 薬剤科長
平成16年  4月 国立病院機構北海道がんセンター 薬剤科長
平成17年  7月 国立がんセンター東病院 薬剤部長
平成22年  4月 明治薬科大学医薬品安全管理学 教授
         国立がん研究センター東病院臨床開発センター
         治験事務局 治験アドバイザー
平成25年  4月 国立がん研究センター早期・探索臨床研究センター
         臨床試験支援室/治験事務局/先端医療科
平成26年  7月 日本病院薬剤師会 専務理事
         明治薬科大学 客員教授

【所属学会・委員会等】
日本臨床腫瘍薬学会(JASPO)理事長
日本臨床腫瘍学会 評議員
日本癌治療学会 代議員
日本薬学会 代議員
日本医薬品情報学会 編集委員
日本医療薬学会
日本ジェネリック医薬品学会
日本薬史学会

厚生労働省薬事・食品衛生審議会 臨時委員
(医薬品等安全対策部会及び医薬品等安全対策調査会担当)
日本病院薬剤師会 理事(専務理事)
RevMate第三者評価委員会 委員
小林がん学術振興会 選考委員
薬剤師認定制度認証機構 薬剤師認定制度委員
国立がん研究センター 治験審査委員

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