薬剤師のかかわり監修:がん研有明病院 薬剤部 副薬剤部長 鈴木賢一先生

  • がんの治療と薬剤師
  • がんの薬物療法に関する薬剤師の資格
  • 薬薬連携で退院後もサポート
公開日:2014年2月25日

がんの薬物療法に関する薬剤師の資格

がんの治療で行われる薬物療法は、大きく3つに分かれます。
1つめは、がんの進行を抑えるために、がん細胞に作用して、がんを死滅させたり、増殖を抑えたりする治療です。抗がん薬や抗ホルモン薬が使われます。
2つめは、抗がん薬などで起こりうる副作用を予防したり軽減したりする治療です(支持療法)。支持療法薬には、吐き気を抑えるための薬剤やアレルギーを抑えるための薬剤などがあります。
3つめは、様々な苦痛を取り除く緩和医療です。がんの進行に伴って、身体の痛みや精神的な苦痛を感じてくることがあり、そうした様々な苦痛を取り除くことも薬物療法の大切な目的の一つです。症状の緩和を図り、患者さんが前向きに治療に取り組めるよう、現在は治療開始とともに、場合によってはそれ以前のタイミングから苦痛を取り除く治療を行うようになってきています。

このように、がんの薬物療法では目的が異なる様々な薬剤を患者さんの症状に合わせて組み合わせる必要があるため、複雑になります。そのため、がんの薬物療法に関する専門的な知識や技能をもつ下記のような薬剤師の資格があり、近年注目されています。

がん薬物療法認定薬剤師

がん専門分野における薬物療法のスペシャリストです。2007年に出来た認定制度です。それぞれの抗がん薬の特徴や、使用の目的を病院内の他の医療スタッフと共有し、安全に、かつ適切にがんの薬物療法が行えるようにサポートしています。

がん専門薬剤師

2005年に暫定的に始まり、2006年に正式に出来た資格です。「がん薬物療法認定薬剤師」の資格を経てはじめて取得することが出来ます。多種多様な抗がん薬に関する知識はもちろんのこと、他の医療従事者への教育や情報提供も行っています。さらに、新しい治療を開発するための臨床研究にも携わるなど、がん治療の発展に貢献しています。

緩和薬物療法認定薬剤師

2009年に新たに出来た資格であり、上記の2つの資格と比べて、有資格者は少ない状況です。しかし、先に記載したように、がんによる苦痛を軽減する緩和医療は、患者さんの生活の質(Quality of life:QOL)の向上のために、早い時期から行うことが重要であるといわれるようになっています。そのため、緩和医療の中の薬物療法における薬剤師が担う役割も大きく、より専門的な知識が求められます。薬剤の知識だけではなく、患者さんやご家族の心のケアに関しても目を向ける必要があります。

がんの治療と薬剤師薬薬連携で退院後もサポート

監修者略歴

がん研有明病院 薬剤部 副薬剤部長 鈴木賢一先生

  • 1992年3月明治薬科大学薬学部衛生薬学科 卒業
  • 1993年4月沼津市立病院 薬剤部
  • 2006年4月静岡県立静岡がんセンター 薬剤部 主任
  • 2012年4月がん研有明病院 薬剤部 副薬剤部長
  • 2018年4月昭和大学薬学部 非常勤講師 併任

【所属学会など】
日本臨床腫瘍学会:評議員
日本肺癌学会:会員委員会
日本医療薬学会:専門薬剤師育成委員会
日本がんサポーティブケア学会
日本臨床腫瘍薬学会:ガイドライン委員会副委員長
日本癌治療学会
日本膵臓学会膵癌診療ガイドライン改訂委員会
日本臨床薬理学会
日本医薬品情報学会
日本がん免疫学会

【認定など】
日本医療薬学会認定がん指導薬剤師
日本医療薬学会認定薬剤師

2018年12月

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