治療方針の決定
乳がんの病期(ステージ)を知る
乳がんと診断されたら、どれくらい進行しているか、すなわち「病期」を知ることが必要です。病期は、「しこりの大きさ」、「リンパ節の転移」、乳房以外の「他の臓器への転移」の3つの条件によって決まり、それぞれの病期により、おおよその現状での見通し(予後)と治療指針が決まってきます。
乳がんの病期分類のポイント
非浸潤がんと浸潤がん
非浸潤がんとは、乳がんが発生した乳管内にとどまっている状態です。また、浸潤がんとは、増殖したがん細胞が乳管の壁を破り、周りの組織にまで広がった状態です。浸潤がんになると微小転移(検査しても見えない、がんの全身への広がり)の存在を考える必要がでてきます。
大きさ
がんが局所的にどれ位の大きさを占めているかわかると同時に、予後(見通し)に関わる全身への広がり、あるいは体内にがんがどれ位の時間存在したかのおおよその目安になります。
所属リンパ節への転移
がん細胞はリンパの流れにのり、わきの下などのリンパ節に入り込み、転移することがわかっています。そのリンパ節を所属リンパ節といい、所属リンパ節へのがんの転移を調べることは、その他の臓器へのがんの転移のしやすさを予測するために重要です。
遠隔転移
乳房以外の離れた臓器や所属リンパ節以外のリンパ節への転移を遠隔転移といいます。乳がんは、骨、肺、胸膜、肝臓、脳などに転移しやすいといわれています。遠隔転移がある場合は、Ⅳ期(ステージⅣ)として治療方針を変更する必要がでてきます。
監修者略歴
足立乳腺クリニック 院長
柏葉 匡寛(かしわば まさひろ)先生
- 1991年3月岩手医科大学卒業
- 1995年3月岩手医科大学大学院卒業
- 1995年6月米国ハーバード医科大学、ダナファーバー癌研究所
- 1998年4月岩手医科大学第1 外科 医員
- 2000年7月岩手県高次救急センター 助手
- 2002年4月岩手医科大学第1 外科 助手
- 2005年4月米国 MD アンダーソンがんセンター研修
- 2006年4月岩手医科大学第1 外科(現外科学講座)講師
- 2009年4月外来化学療法室長 兼務
- 2009年10月腫瘍センター副センター長 兼務
- 2016年4月さがらブレストピアヘルスケアグループ
ブレストピア宮崎病院 副院長 - 2018年4月社会医療法人 博愛会 相良病院
臨床研究センター長 - 2020年6月足立乳腺クリニック 院長
- 【学会など】
- 日本外科学会専門医、日本乳癌学会専門医 評議員
日本癌治療学会代議員、癌治療認定医・暫定指導医
ASCO active member、ESMO member
日本臨床腫瘍学会、日本消化器外科学会
日本臨床外科学会、日本癌学会