乳がんの早期発見監修:東北医科薬科大学 乳腺・内分泌外科 教授 鈴木昭彦 先生

  • 乳がんとは
  • 乳がん検診はなぜ大切?
  • 1ヵ月に1回の自己検診を

乳がんとは

乳房の構造と乳がんの発生

乳房は乳腺組織と脂肪組織からなり、乳腺組織は母乳を作る「小葉」と、作られた母乳を運ぶ「乳管」に分かれています(図)。乳がんはこの乳腺組織に発生する腫瘍です。自分でしこりに気付くことも少なくありません。
乳管や小葉に発生した乳がん細胞は成長(増殖)して乳管内を移動します。乳管や小葉の外の間質に浸潤すると、リンパや血液の流れに乗って全身に運ばれて、さらに増殖すると他の臓器に転移します。
がん細胞が乳管や小葉の中にとどまっているものを「非浸潤がん」といい、早期乳がんとされています。それに対し、間質に浸潤して外の組織に広がっている乳がんを「浸潤がん」といいます。このほかに、「Paget病(パジェット病)」という、まれな乳がんもあります。しこりはみられないケースが多く、乳頭・乳輪に湿疹ができたり、赤くなったりする乳頭のがんです。

乳がんの分類

乳がんは、非浸潤がん、微小浸潤がん、浸潤がん、Paget病の大きく4つに分けられ、さらにいくつかの種類に細分化されます(図)。非浸潤がんは、がんが発生する場所によって「非浸潤性乳管がん(DCIS)」「非浸潤性小葉がん」に分けられます。浸潤がんは、「浸潤性乳管がん」「特殊型」に分けられます。浸潤性乳管がんは、さらにがん細胞の性質によって、乳頭状増殖及び管腔形成**を示す「乳頭腺管がん」、周辺組織に対して圧排性ないし膨張性の発育を示し、比較的増殖が速い「充実腺管がん」、間質の結合組織の増殖を伴いがん細胞が個々に(細かくバラバラに)浸潤する傾向を示す「硬がん」とに分けられます。特殊型は頻度が少なく、まれなタイプのがんです。
*乳頭状増殖:ポリープのような増殖
**管腔形成:がん細胞が集まってパイプのように中が空洞の状態になること

乳がんが発生しやすいところ

乳腺組織が最も多い乳房の外側の上部は、他の部位と比較して乳がんが発生しやすい場所です(図)。自己検診の際にも注意深く確認しましょう。(1ヵ月に1回の自己検診を)また、複数の部位にできることもあります。

乳がんと間違えやすい代表的な乳腺の症状と病気

乳がんと似たような症状があり、よく起こる良性の乳腺の病気には、「乳腺症」、「乳腺炎」、「乳腺線維腺腫」があります。
「乳腺症」は、30~40歳代の女性にみられる症状で、主な症状は硬結、疼痛(乳房痛)、異常乳頭分泌です。乳腺症は、月経周期に合わせて卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)が関わっています。閉経すると卵巣機能が低下するため、これらの症状は自然に消えていきます。
「乳腺炎」は、乳汁のうっ滞や、細菌感染によって起こる乳房の炎症です。赤く腫れたり、痛みや膿、しこりなどがみられます。特に授乳期に、母乳が乳房内にたまって炎症を起こす「うっ滞性乳腺炎」がよくみられます。乳頭から細菌感染を起こすと、「化膿性乳腺炎」となって、膿が出るようになります。
「乳腺線維腺腫」は、10歳代後半~40歳代の人に多く起こります。触るとよく動く、ころころした良性のしこりです。組織学的に線維腺腫と診断されれば、特別な治療は必要ありません。閉経後にしぼんでしまうことが多く、乳がんの発症とは関係ありません。

監修者略歴

東北医科薬科大学 乳腺・内分泌外科 教授 鈴木昭彦先生

1992年 東北大学医学部卒業
1992年〜1995年 福島市大原総合病院にて外科研修
1995年 東北大学医学部 第2外科入局
2000年 東北大学大学院医学系研究科 卒業(医学博士)
2000年~2003年 米国コロンビア大学留学(病理学 Fellow)
2003年 5月 東北大学大学院医学系研究科腫瘍外科 医員
2003年10月 東北大学大学院医学系研究科腫瘍外科(乳腺・内分泌外科)助手
2008年 4月 同 講師
2009年 4月 八戸市立市民病院 乳腺外科部長
2011年 4月 東北大学病院乳腺内分泌外科 講師
2013年 7月 東北大学大学院 先端画像・ナノ医科学寄附講座 准教授
2017年 4月 東北医科薬科大学 乳腺・内分泌外科 教授

【資格・所属学会など】
日本外科学会専門医
日本乳癌学会専門医
日本乳癌検診学会評議員

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