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治療方針の決定

2013年12月6日 公開
2022年6月 更新
監修:足立乳腺クリニック 院長
柏葉 匡寛 先生

乳がんの診断をする

乳房にしこりができたとしても、すべてが乳がんではありません。良性の腫瘍や乳腺構造の異常な状態(乳腺症)、皮下脂肪のかたまりである場合などもありますから、確実に良性か悪性かを診断するための検査が必要です。
検査には、マンモグラフィ検査や超音波検査などのように画像で診断するものと、最終的な良悪性の診断に不可欠な、細胞診・組織診という顕微鏡を用いた病理診断があります。

問診 まずは患者さんの基本的な情報をお尋ねします。

問診では、いつから気付いたのか、痛みなどの症状はないか、家族に乳がんにかかった人がいるか、ほかの病気はないかなど、まずは患者さんの様々な情報を集めます。月経の状況、出産や授乳の経験なども質問されますので、スムーズにこたえられるようにしこりの状態や、月経の状況などを事前に整理してメモしておくとよいでしょう。
(事前の記入に便利な相談シートをぜひご利用ください。)

視触診 目で見て触って、左右差やしこりを確かめます。

医師が目で見て、外見上の乳房の左右差や色調、形を確認します。次に、両手を用いて乳房を薄く伸ばすように触れていき、しこりの有無、局所的に硬さに変化がないか、しこりが有った場合には硬さや、大きさ、位置、周囲の乳腺などとの関係(動きやすいか、皮膚にくっついていないか)を調べます。また、乳頭を圧迫して分泌物がないか、首やわきの下にリンパ節の腫れがないかも確かめます。上半身は脱ぎ着がしやすい服装がよいでしょう。

マンモグラフィ検査 乳房の内からしこり、ひきつれ、石灰化等をX線で見つけます。

乳房専用のレントゲン(X線撮影)検査で、40歳以上の女性が対象となる乳がん検診ではもっとも重要な検査の一つです。乳房を透明な薄い板で挟み、薄く平らにして、上下/左右の2方向から撮影します。圧迫されるために痛みを感じますが、しっかりと挟み込むことで、広い範囲をより正確に写すことが出来ます。
マンモグラフィでは、ひきつれや石灰化等の乳がん特有のサインにより、しこりになる前の小さな乳がんも見つけられる可能性があり、早期発見に役立っています。
一方、乳腺と乳がんが共に白く写し出されるため、乳腺が発達している40歳未満の女性では、小さなしこりと正常な乳腺との区別が難しいというのがやや欠点です。

超音波検査(エコー) しこりの形や内部の構造を調べます。

乳房に人体には悪影響のない超音波をあて、その反射波からしこりの形や内部構造を画像化します。乳腺が発達していてマンモグラフィでは診断しにくい乳房でも、超音波検査では痛みもなくしこりが発見しやすい特徴があります。
マンモグラフィと超音波のどちらかでしか発見できないしこりもあるため、併用することでより正確な診断を行うことができます。

CT/MRI検査 がんの広がりをみるために行います。

その他の画像診断として、乳がんが強く疑われる場合、手術や放射線の治療範囲を検討するために、CTやMRI検査を行って病変の広がりを調べます。CTはX線を、MRIでは磁気を使って体の内部を描き出します。乳がんと判明した場合に行うことが多いですが、診断が難しいケースでは、後述のように細胞診や組織診の前に広がり等の情報を集める補助として行うこともあり、近年広く用いられるようになっています。

細胞診・組織診 乳がんかどうかの確定診断をします。

画像診断はあくまでも総合的な臨床診断であり、乳がんの診断を確定させるためには、病理検査が不可欠です。
病変と思われる細胞や組織をとってがん細胞の存在を調べる細胞診あるいは組織診を行います。
細胞診は、乳房に細い針を刺して細胞を採取する穿刺吸引細胞診と乳頭からの分泌物をみる乳頭分泌物細胞診があります。
また、組織診のほとんどは局所麻酔をした上で細胞診より太い針を刺して組織の一部を細長くとる針生検です。針を刺した部分に血腫(血のかたまり)ができることがありますが、自然に吸収されますので心配ありません。局所麻酔や太い針を用いる分、細胞診よりも身体への負担は多めですが、確実に良悪性の診断が可能なことが多く、治療方針の決定に役立つ情報が多く得られます。

監修者略歴

足立乳腺クリニック 院長
柏葉 匡寛(かしわば まさひろ)先生

  • 1991年3月岩手医科大学卒業
  • 1995年3月岩手医科大学大学院卒業
  • 1995年6月米国ハーバード医科大学、ダナファーバー癌研究所
  • 1998年4月岩手医科大学第1 外科 医員
  • 2000年7月岩手県高次救急センター 助手
  • 2002年4月岩手医科大学第1 外科 助手
  • 2005年4月米国 MD アンダーソンがんセンター研修
  • 2006年4月岩手医科大学第1 外科(現外科学講座)講師
  • 2009年4月外来化学療法室長 兼務
  • 2009年10月腫瘍センター副センター長 兼務
  • 2016年4月さがらブレストピアヘルスケアグループ
    ブレストピア宮崎病院 副院長
  • 2018年4月社会医療法人 博愛会 相良病院
    臨床研究センター長
  • 2020年6月足立乳腺クリニック 院長
  • 【学会など】
  • 日本外科学会専門医、日本乳癌学会専門医 評議員
    日本癌治療学会代議員、癌治療認定医・暫定指導医
    ASCO active member、ESMO member
    日本臨床腫瘍学会、日本消化器外科学会
    日本臨床外科学会、日本癌学会