ホーム専門医が解説する乳がん治療手術療法手術療法を受ける前に

手術療法

2014年1月30日 公開
2022年1月 更新
監修:岡山大学病院 乳腺・内分泌外科
講師・研究准教授
枝園 忠彦 先生

手術療法を受ける前に

乳がんの治療は治癒(乳房やリンパにあるがん細胞を治療するだけでなく、今後再発や転移をさせないこと)を目標に局所療法と全身療法を組み合わせて行われます。全身に散らばったがん細胞(微小転移)を治療する薬物療法に対して、手術や放射線治療は乳房やその周囲のリンパ節などを直接治療する局所療法として行われます。

手術の目的は、乳房にできたがんを直接取り除くことです。さらに、取り除いたがんの性質を詳しく調べることで再発・転移の確率が予測され、再発・転移をしないようにするために有効な薬物が推測されます。

手術の方法は、乳房温存術(部分切除術)と乳房切除術(全摘術)の2つに分けられます。それぞれの具体的な長所・短所は後に述べますが、重要な点は「乳房にできたがん細胞はすべて切除する必要がある」ことと、「がん細胞がすべて摘出された場合、全摘術でも温存術でも予後(見通し)には差がない(ただし、温存術の場合は術後に放射線治療が必要です)」という2点です。

乳房の手術にはがんを治療する側面と美容的な側面があり、両者のバランスが重要です。温存術は正常な自分の乳房を残すことができますが、がんの広がりや場所・乳房自体の大きさなどによって美容的に満足がいくように残せるかどうかは、一人ひとりでかなり異なります。無理に乳房を残す温存術を選ぶよりも、全摘術を行って乳房再建を行うほうが美容的に勝ることもありますし、逆に温存術できれいに乳房が残せるようであれば、あえて全摘術を選択する必要はないこともあります。

さらに近年、遺伝性乳がん卵巣がん症候群に対する遺伝検査などにより、乳がんになりやすい性質も検査で分かるようになり始めました。乳がんになりやすい性質がこの検査で明らかな場合は、その後の再発の確率を考えて温存術はお勧めしない場合もあります。

ご自身の病状や美容上のご希望をよく主治医とご相談の上、それぞれの方法の長所と短所を理解したうえで、どのような手術を選択するか考えてみましょう。

乳がんの手術の種類と方法

監修者略歴

岡山大学病院 乳腺・内分泌外科
講師・研究准教授
枝園 忠彦(しえん ただひこ)先生

  • 1999年香川大学医学部卒業
  • 1999年岡山大学医学部 腫瘍・胸部外科(第2外科)入局
  • 2003年国立がんセンター中央病院 外科レジデント
  • 2005年岡山大学医学部大学院(外科学)卒業
  • 2006年国立がんセンター中央病院 がん専門修練医
  • 2008年岡山大学病院 乳腺内分泌外科 助教
  • 2008年第14回 日本乳癌学会研究奨励賞受賞
  • 2009年第3回 「乳癌の臨床」賞奨励賞受賞
  • 2009年岡山大学病院 乳腺・内分泌外科 病棟医長
  • 2018年岡山大学病院 乳腺・内分泌外科 講師
  • 2020年岡山大学病院 乳腺・内分泌外科 講師・研究准教授
  • 【学会・資格】
  • 医学博士
  • 日本外科学会:専門医・指導医
  • 日本乳癌学会:専門医・指導医
  • 内分泌外科専門医
  • 家族性腫瘍専門医
  • がん治療認定医
  • マンモグラフィ読影認定医
  • 乳房再建用エキスパンダー/インプラント実施医師
  • 【委員】
  • JCOG乳がんグループ事務局
  • 日本乳癌学会 評議員
  • 日本臨床外科学会 評議員
  • 乳がん検診学会 評議員
  • オンコプラスティックサージャリー学会 評議員