ホーム専門医が解説する乳がん治療手術療法乳房再建術

手術療法

2014年1月30日 公開
2022年1月 更新
監修:岡山大学病院 乳腺・内分泌外科
講師・研究准教授
枝園 忠彦 先生

乳房再建術

乳房再建術とは、手術によって切除した乳房を新しく作る方法です。
自分の体の一部を用いる自家組織による方法と、人工乳房(インプラント)による方法があります。
再建の時期は、乳がんの切除術と同時に行う場合(一次再建)と、切除術後に期間をおいて行う場合(二次再建)があります。
また、乳房切除術だけでなく部分切除術後に乳房再建術を行う場合もあります。それぞれの病状や形成外科医の有無、施設などによって可能かどうか異なりますので、主治医とよく相談することをお勧めします。

自家組織による再建

患者さんの身体の一部の組織を胸に移植する方法です。
背中の組織を移植する方法とお腹の組織を移植する方法があります。

背中の組織を移植する方法

広背筋皮弁法こうはいきんひべんほう

背中の皮膚、脂肪、筋肉に血管を付けたまま移植する方法で、広背筋皮弁法といいます。背中に傷が残りますが、背中の他の筋肉が補うので日常生活にほとんど支障はありません。ただし、採取できる組織が少ないため、乳房のボリュームが大きく欠損部が大きい場合には再建が難しくなります。また、再建した乳房の主体が筋肉となるため、移植後、使われない筋肉が萎縮し、再建した乳房が時間と共に小さくなってしまうことがあります。

お腹の組織を移植する方法

腹直筋皮弁法ふくちょくきんひべんほう

お腹の皮膚、脂肪、筋肉に血管を付けたまま移植する方法です。乳房のボリュームが大きくても再建しやすい方法です。お腹の筋肉を一部とるため、下腹部に傷が残り、腹筋が弱くなることがあります。お腹の手術を受けた方や、将来、妊娠・出産を希望される方には適していません。

穿通枝皮弁法せんつうしひべんほう

お腹の脂肪とそこに栄養を送る血管を移植する方法です。乳房に脂肪と血管を移植するため、術後の触感が自然になりますが、脂肪に流れ込む血管と移植後のわきの下の血管を、顕微鏡を用いてつなぎ合わせるため、高度な技術が必要です。この方法も下腹部に傷が残ります。

人工乳房(インプラント)による再建

乳房切除後に、ティッシュ・エキスパンダー(組織拡張器)を大胸筋の下に挿入し、徐々に生理食塩水を注入します。半年程度かけて徐々に皮膚や周辺組織を膨らませた後、人工乳房(インプラント)に入れ替える方法です。自家組織による再建と比較して、乳房以外の部分には傷ができず、手術時間も非常に短くて済みます。ただ、人工乳房のサイズや形は様々ですし、人工物のため年齢による乳房の変化に伴う左右差など調整が必要な場合があります。

1.エキスパンダーに定期的に生理食塩水を注入し、組織を拡張させます。 2.拡張後、インプラントに交換する。
自家組織と人工乳房による再建の比較

監修者略歴

岡山大学病院 乳腺・内分泌外科
講師・研究准教授
枝園 忠彦(しえん ただひこ)先生

  • 1999年香川大学医学部卒業
  • 1999年岡山大学医学部 腫瘍・胸部外科(第2外科)入局
  • 2003年国立がんセンター中央病院 外科レジデント
  • 2005年岡山大学医学部大学院(外科学)卒業
  • 2006年国立がんセンター中央病院 がん専門修練医
  • 2008年岡山大学病院 乳腺内分泌外科 助教
  • 2008年第14回 日本乳癌学会研究奨励賞受賞
  • 2009年第3回 「乳癌の臨床」賞奨励賞受賞
  • 2009年岡山大学病院 乳腺・内分泌外科 病棟医長
  • 2018年岡山大学病院 乳腺・内分泌外科 講師
  • 2020年岡山大学病院 乳腺・内分泌外科 講師・研究准教授
  • 【学会・資格】
  • 医学博士
  • 日本外科学会:専門医・指導医
  • 日本乳癌学会:専門医・指導医
  • 内分泌外科専門医
  • 家族性腫瘍専門医
  • がん治療認定医
  • マンモグラフィ読影認定医
  • 乳房再建用エキスパンダー/インプラント実施医師
  • 【委員】
  • JCOG乳がんグループ事務局
  • 日本乳癌学会 評議員
  • 日本臨床外科学会 評議員
  • 乳がん検診学会 評議員
  • オンコプラスティックサージャリー学会 評議員