ホーム専門医が解説する乳がん治療術前・術後薬物療法術後放射線療法

術前・術後薬物療法

2014年6月30日 公開
2025年5月 更新
監修:国立病院機構 名古屋医療センター
ブレストセンター長・乳腺外科医長(科長)
澤木 正孝 先生

術後放射線療法

術後放射線療法とは

放射線療法は、放射線を乳がんの病巣に照射し、がん細胞の遺伝子にダメージを与えることで、がん細胞を死滅させる治療です。放射線の照射により、がん細胞がダメージを受けて増殖できなくなり、死滅させるのがねらいです。放射線は周囲の正常細胞にも影響を与えますが、正常細胞の方ががん細胞よりもダメージを受けにくく、回復しやすいため、効率的にがん細胞を攻撃することが期待できます。

術後放射線療法は、温存した乳房や、乳房を切除した後の胸や、その周囲のリンパ節からの再発を防ぐために行う局所的な補助療法になります。放射線療法は、照射中に痛みや熱さを感じることもありませんし、身体に放射線が残ることもありません。

多くの場合、放射線療法による副作用は軽度で、照射した部位に限られます。過去に照射した部位に再度照射を行うと、副作用が出やすくなってしまうため、原則として、同じ部位に再び照射することはありません。

放射線療法による副作用

急性期の副作用

治療中あるいは終了後まもなく現れる副作用を急性期の副作用といいます。開始して2~4週間程度すると、放射線を照射した範囲の皮膚が、日焼けしたように赤くなったり、ひりひりしたりすることがあります。また、皮がむけたり、水ぶくれのようになることもあります。これらの症状は、治療が終了すれば2週間ほどで軽快します。照射した部位は皮膚が弱くなっているので、絆創膏などを貼ることは避けてください。また、身体を洗うときも強くこすらないようにしましょう。

晩期の副作用

放射線療法終了後、数ヵ月から数年たってから現われるものを晩期の副作用といいます。実際には晩期に起こる頻度は少ないため、あまり問題になりません。起こりうる症状としては乳房がかたくなったり、わきの下への照射により腕がむくむことがあります。また、乳房への照射により、乳汁を作る機能が失われることがありますが、反対側の乳房から授乳できます。

監修者略歴

国立病院機構 名古屋医療センター ブレストセンター長・乳腺外科医長(科長)
澤木 正孝(さわき まさたか)先生

  • 1995年名古屋大学医学部医学科卒業、第二外科入局
  • 2001年癌研究会附属病院 乳腺外科レジデント
  • 2002年癌研究会附属病院 化学療法科レジデント、
    癌研究会癌研究所 病理部研究生
  • 2003年名古屋大学医学部附属病院 乳腺・内分泌外科医員
  • 2005年名古屋大学大学院医学系研究科博士課程(内分泌・移植外科学) 修了
  • 2006年名古屋大学医学部附属病院 乳腺・内分泌外科病院助手
  • 2007年名古屋大学大学院医学系研究科 特任講師
  • 2011年愛知県がんセンター中央病院 乳腺科医長
  • 2019年愛知県がんセンター(旧:愛知県がんセンター中央病院) 乳腺科部 医長
  • 2024年名古屋医療センター ブレストセンター長・乳腺外科医長(科長)
  • 【所属学会・資格など】
  • 日本外科学会専門医・指導医
  • 日本乳癌学会評議員・乳腺専門医・指導医
  • 日本臨床腫瘍学会協議員・がん薬物療法専門医・
    指導医
  • 日本乳房オンコプラスティックサージェリー学会
    評議員・施設責任医師
  • 日本老年腫瘍学会理事
  • 日本臨床外科学会評議員
  • 日本腫瘍循環器学会評議員
  • 検診マンモグラフィ読影認定医
  • 日本消化器病学会消化器病専門医
  • がん治療認定医機構がん治療認定医
  • 麻酔科標榜医
  • 医学博士